久しぶりに両親のいる実家に帰ったとき、見慣れない高価な物があったり、家がリフォームされていたということはありませんか。また、そのことを両親に聞いても要領を得ない答えしか返ってこない―という経験はありませんか。
このような場合、悪徳業者が両親の判断能力の減退に付け込み、契約を結ばせた可能性が高いです。悪徳業者に一度目を付けられると、業者間で情報が出回り、多数の業者が繰り返し執拗に契約を迫ってくる可能性があります。
判断が困難な家族を守る制度 支援者を家裁で選出
このようなことを予防するには、判断能力が減退した家族を守るために成年後見等(後見、保佐、補助)の申し立てをお勧めします。成年後見等の申し立てとは、家庭裁判所に対して家族を援助・支援してくれる人を選任するように求めるものです。この申し立てをすれば、後見人等により業者との契約の取り消しや、業者への損害賠償請求が可能になります。
戸籍謄本など書類の取得は弁護士に手続き委任が可能
申し立てにかかわる手続きや書類、費用について説明します。まず本人の判断能力の減退について、医師(精神科などの専門医でなくてもよい)作成の診断書が必要です。次に、戸籍謄本などの書類を取得する必要がありますが、戸籍謄本以外にもさまざまな書類が必要で、取得には手間と時間がかかります。悪徳業者による被害防止には迅速な申し立てが必要で、そのためには弁護士に手続きの代理を委任してもよいと考えられます。
申し立て後、補助申し立て以外では原則として専門医による鑑定が行われます。鑑定費用は申し立て人があらかじめ納める必要があり、岡山県では原則5万円で、鑑定費用を含めた申し立て費用の合計は7万円程度になります。申し立てから選任までは約2カ月かかる例が多いですが、早い場合は約1カ月で選任される場合もあります。
後見人は報告書提出の義務
後見人は財産管理のために領収書などの資料を保管し、定期的に報告書を家庭裁判所に提出する義務があります。これらの後見事務が負担になる場合は、申し立て時に専門職後見人等の選任を求めることをお勧めします。