離婚事件の特徴
離婚事件の特性は、夫婦間の問題であるため、証拠が乏しいなど、通常事件とは異なる点が多々あります。また、子の親権の争いなど、非常にデリケートな対応が迫られます。さらに、財産分与については、財産調査など専門的経験が必要となります。 賀川法律事務所では、協議離婚・調停離婚・裁判離婚のいずれにも注力しています。
離婚で決めなければならないこと
法律上離婚の際に必ず決めなければならないことは、子の親権者を何れにするかのみです。
慰謝料、財産分与、養育費、年金分割、子への面会については別段決めなくても良いのです。このことを説明すると驚かれる方がほとんどです。 ただし、慰謝料は3年(慰謝料発生事実を知った時から)、財産分与と年金分割は2年(離婚時から、年金分割は手続きを行う期間も1か月と短いため注意)、養育費は5年(地裁裁判例あり)で消滅時効が成立するので注意が必要です(子への面会に時効は観念できません)。
実際、当事者同士で、離婚をすることや親権者については合意しているが、その他のことは決着がついていないことはままあります。この場合、後日協議することもできます。もっとも、支払い義務を負う側相手方が、離婚後に交渉に応じないことは良くありますので、離婚する前に、離婚に応じることを交渉材料に他の条件を決めることが多いのが実情です。
財産分与って何?
離婚の際、慰謝料と同じく財産上問題になるのが財産分与です。
財産分与とは、婚姻生活中に夫婦の協力によって得られた財産を、離婚時に清算することをいいます。夫婦は共同生活をしている間にお互いの協力によって、一定の財産(不動産、預貯金、有価証券、自動車など)を形成します。多くの場合は、いずれかの名義になっています。しかし、たとえば、夫の給料で不動産を購入し、名義は夫となっていても、実質は妻の協力によって形成されたものと考えますから、これらは夫婦共有財産になります。財産分与権は、法律で認められた権利であり、離婚原因がいずれにあるかは無関係です。もっとも、離婚原因を作った側の財産分与が慰謝料として差し引かれて、少なくなるケースもあります。
また、財産分与には、経済的に弱い配偶者が、離婚後の生活に困らないようにするという扶養目的も含まれる場合もあります。例えば、離婚時に妻が高齢な専業主婦だった場合や、病気などを患って自活できない場合には、毎月数万円の生活費を支払い、生活維持を図るという内容です。
財産分与権は、法律上当然に認められた権利ですが、離婚後2年以内に行使しないと消滅しますので、財産分与せずに離婚した場合には、注意が必要です。
なお、不法行為(不貞行為、暴力など)に対する慰謝料は、財産分与とは別個の権利です。しかし、現実には、慰謝料と明確に区別せず、合算する場合もあり、財産分与は慰謝料の性格も持つ事もあります。だからといって、常に財産分与に慰謝料が含まれているわけではありませんので、この点は注意が必要で、専門家との相談をお勧めします。
婚姻費用と養育費
養育費は、ほとんどの依頼人さんがご存じなのですが、婚姻費用については、知らない方が多くいます。
婚姻費用は、婚姻期間中、主に別居に至った場合の一方当事者側(子の分も含む)の生活費です。一方、養育費は、離婚後、扶養しなければならない子の生活費です。
婚姻費用は、夫婦の収入・資産・社会的地位に応じて決められる婚姻生活を維持するうえで必要な費用です。養育費との違いを簡単にいえば、配偶者分が含まれるか否かです。当然、婚姻費用の方が少し高額になります。
算定方法は、夫の収入と妻の収入、子の面倒をいずれが看るかで決まります。子がいない夫婦の場合でも発生します。
DV法の活用
世間一般でDVという言葉をよく見かけます。多くの場合、DVの意味は、身体的暴力を指すものとして使用されます。度々、離婚の原因にもなります。
しかし、DVは身体に対するものに限られるわけではありません。例えば、言葉の暴力による精神的暴力、性行為等の強制による性的暴力、必要な生活費を渡さずに困難な生活を強いられる経済的暴力等があります。
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(以下、「DV法」と呼びます。)は、その1条1項において、「配偶者からの暴力」を「身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの、又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」定義しています。前段は、身体的暴力を指し、後段は精神的暴力や性的暴力等を指しているものと解釈できます。
もっとも、DV法が「被害者」として認めるのは、「配偶者から身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた者」(DV法10条1項)であって、必ずしも「配偶者からの暴力」を受けた人を含んでいるわけではありません。
しかし、DV法は、「被害者」として認められた場合、被害者と配偶者間の接近禁止命令に加え(DV法10条1項1号)、子どもと配偶者間の接近禁止命令も定めています(DV法10条3項)。接近禁止命令は、配偶者が被害者に近づく直接的な接近に加えて、メールやFAX等による間接的な接近についても含まれます(DV法10条2項各号)。また、退去命令といって、配偶者に対して家から出て行くことと、家の付近をうろつくことを禁止することもできます(DV法10条1項2号)。
なお、接近禁止命令等の申し立てることができる人は、告訴等と異なり被害者本人に限られているので注意が必要です(DV法10条各項)。
配偶者からのDVにお悩みでしたら、まず、専門家である弁護士事務所である賀川法律事務所にお電話してください。親身に対応させて頂きます。
- 「経済的利益」は、原則として「請求した額」もしくは「請求を退けた額」です。
- 「執行」とは、協議で決まった約束どおりに相手方から支払われない場合に、財産を差し押さえ支払いを実行させることです。