交通事故を起こしてしまったら

交通事故を起こしてしまった場合に、いったい相手方に何を賠償しなければならないか、考えたことはありますか。漠然と「相手方の車の修理代を払わなければならない」とか、「相手方のけがの治療費を負担しなければならない」といった認識は誰にでもあるでしょう。しかし、交通事故によって発生する損害には皆さんが思う以上にさまざまなものがあります。

車の修理費や治療費に加え代車費用や慰謝料も必要

まず、相手の車が壊れた場合は修理費だけでなく、修理している間、相手方は車を使えなくなりますので、その間代わりの車を使用するための費用が必要となることがあります。さらに、相手方がその車を仕事に使用していた場合には「車を使えなくて仕事ができない」として、その分の費用を請求されることもあります。

また、相手がけがをしている場合には治療費以外にも、入院した場合には入院に必要な諸費用、通院の場合は通院のための交通費がかかります。そして治療期間が長期にわたる場合には、その期間に応じた慰謝料が発生しますし、相手方に後遺障害が発生した場合は、その障害の程度に応じた慰謝料の支払いも必要となり、慰謝料の合計が1千万円を超えるケースもあります。

人の身体に生じた損害には任意保険の加入が大切

人の身体について生じた損害については、強制加入である自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)に基づいて保険会社から支払われる部分もありますが、支払われる額には限度があり、それを超える場合は任意保険に入っていなければ、当事者本人の負担になってしまいます。

当事者の直接交渉は負担大 弁護士による判断も重要に

交通事故による損害は前述した以外にもさまざまなものがあり、相手方からの請求が法律上認められるべきものかどうかについては、弁護士による判断が必要となってくる場合も多いです。また事故が起きた原因についても、当事者同士で意見が食い違うことも多く、そのような場合に相手方と直接交渉することは精神的にも負担が大きいものです。ですから、交通事故が発生したときには遠慮をせずに、できるだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

(山陽新聞レディア2011年3月10日掲載)