当事務所所長の記事が山陽新聞レディアに掲載されました!

Q:交際相手が、私に無断で婚姻届を偽造して役所に提出し、私は役所からの通知で戸籍上、彼の新姓に変わったことを知りました。彼と結婚する気はありません。婚姻を解消するにはどうすればよいでしょうか。

A:離婚届や婚姻届には、実印や夫婦両人の出頭は必要ではなく、提出に来た人の本人確認(免許証など)とその他の証人など、必要事項の記入があれば受理されてしまいます。夫婦になる人や証人の署名が必要ですが、記入さえあれば問題にはされません。ただし、夫婦になる両人の実際の本籍の記載が必要なので、本籍を他人に知られないことが有効な予防方法といえるでしょう(離婚届の偽造の場合は、夫婦の本籍は同じなので不受理届を提出するのが最善策)。

 今回のように本籍を知っている交際相手が婚姻届を出してしまった場合では、戸籍法上有効な届であるため受理されてしまいます。したがって、裁判所に調停を申し立てて婚姻無効判決など獲得してはじめて婚姻は無効になります。被害に遭ったのに時間のかかる裁判(調停)を余儀なくされるなど、相当な負担を強いられてしまうのが現状です。中には面倒な手続きを嫌って相手方と離婚することで済ませてしまう人もいるようですが、離婚するということは婚姻した事実が戸籍上残ってしまうのでお勧めできません。

 そもそも、婚姻届の偽造は立派な犯罪(私文書偽造、同行使、公正証書原本不実記載)であるため、警察に訴えれば相手は処罰されますし、相手方に慰謝料の請求もできます。事前に防ぐことが難しい以上、事後的に相手に厳しく責任を取らせるべきでしょう。

山陽新聞レディア(H26.5.14)