平成26年12月3日山陽新聞レディアホームロイヤーに当事務所所長賀川の記事が掲載されました

人質司法とは

前科もなく会社員として真面目に生活していた人が、すれ違いざまに被害者の身体を触ったとされて、警察に呼び出されたとしましょう。身に覚えがないといくら弁解したとしても、警察官は被害者がそう言っているから通らないなどと言ってあなたに自白を迫る危険があります。

嘘でも自白すれば罰金
否認をすれば拘留

その後、逮捕されて、検察官や裁判官からも質問を受けるかもしれませんが、否認事件ということで10日間の勾留処分がなされる可能性が高いでしょう。その勾留期間中も自白を迫られます。仮に、すぐに自白したとすると罰金処分としてすぐに釈放されるでしょう。逮捕すらされないかもしれません。そうなると、嘘でも自白すれば数万円程度の罰金、否認すれば勾留、これがまさに人質司法といわれるゆえんです。実際にやってもいないのに罰金を支払っている人はいるようです。

否認を貫いていると
保釈が認められないことも

10日間の勾留のあと、さらにもう10日間の勾留延長も可能です。逮捕から合わせて最長23日間の拘束です。それでも否認を貫いて嫌疑不十分として釈放された人はまだ幸せかもしれません。最悪なのは、起訴されて正式裁判にかけられた場合、判決までに数カ月の拘束がなされる場合でしょう。もちろん、通常150万円以上の保釈金を納めて(条件を守り、裁判が終了すれば返還されます)保釈が認められれば、早期に釈放されます。しかし否認を貫いていると、被害者などの関係者に自己に有利な証言を求めて威迫しに行く危険があるとか、逃亡する危険があると言って保釈がなかなか認められないのが実情です。この段階もまさに人質をとって罪を認めさせようとしているといえるでしょう。幸いにも判決で無罪になったとしても、相当に長期間にわたって拘束されてしまい、会社も解雇されるかもしれません(わずかな補償金はもらえますが)。

以上のような人質司法を打破するには、被疑者の独力では相当に難しく、できるだけ早期の段階で弁護士のアドバイスを受けるべきでしょう。

 

山陽新聞レディアホームロイヤー(H26.12.3)

2014年12月4日