メール相談の回答等

無料メール相談をご利用された方の相談内容とその回答を掲載しています。

Q&A

1:歯科にて、医師から「整形した?」と複数回言われた。訴えることができるか?

訴えることは可能です。しかしながら、「整形した?」と言うことが不法行為(民法709条)に該当するか、という問題があります。不法行為が認められるには、通常の受忍限度を超え、社会的相当性のない言動である必要があります。本件において、受忍限度を超え社会的相当性のない言動とまではいえない、と思われます。不愉快な思いをなされたとおもいますが、法的責任を追及することは難しい案件です。

2:隣家との境界付近の工作物について。所有権はどちらにあるのか?工作物を隣家の許可なしに撤去できるのか?隣家が撤去を拒否することの法的根拠はあるのか?

境界付近にある工作物は、境界標(民法223条)と考えられ、これは隣家との共有と推定されます(民法229条)。あくまで、推定ですので、異なる合意が認められ、単独の所有ということもありえます。そして、共有物であると、それを撤去する場合、共有物の変更(民法251条)に当たるため、隣家の同意が必要となります。したがって、隣家の同意なしに境界線付近の工作物を撤去することはできません。もし、勝手に撤去してしまうと、持分権侵害ということで、損害賠償責任を負うこともあります。

3:父親の面倒を見ていたX(妻)が交通事故により死亡した。相続人は、子ども2人(独立している)とY(夫)である。YがXに代わり父親の面倒をみる場合、交通事故の損害賠償において考慮されるか?考慮されるとしてその額はいくらか?

まず、父親は固有の慰謝料請求権があります(民法711条)。そして、父親は、その子であるXにより扶養されていたのであるから、交通事故によりXが死亡したことで、扶養料相当の損害を被ったといえます。この扶養料は、 Xが父親を扶養するのに要した額(例えば、1年間で300万円扶養していたというのであれば、300万円)と平均余命(男性:79歳、女性:86歳)と現在の年齢の差を乗じたものと考えられます。 平均余命までは、毎年扶養料が発生すると考えられるためです。例において、父親が67歳と仮定しますと、扶養料の額は3600万円(300×12)となります。この額を全体の損害賠償額から控除し、その残額が相続人に相続されることになります(最判平成5年4月6日)。なお、交通事故の過失割合を100:0としております。

4:息子(成人)が、交際相手の元におり、交際相手や交際相手の親に面会要求をしたが会わせてくれない?なんとかならないか。

方法としては、人身保護法やDV法があります。成人している息子さんの意思で、交際相手方にいると思われますので、人身保護法は困難です。また、DVといえるような事実がないと息子さんを交際相手方から離すことも困難です。

5:息子(成人)の子どもが、元暴力団の人や素行不良の人と遊び歩いている。この場合、息子の親権喪失の申し立ては可能か。

原則として、親が子どもをどのように教育するのかは、自由です。親権の濫用といえるような事実、例えば虐待や長期間の放置などが認められないと、親権喪失は認められません。まずは、児童相談所に相談してみてください。

6:FacebookでYahooIDと名前入りで「ライブチケットを不正に出品した転売屋」と書き込みをしました。犯罪に当たるのでしょうか?逮捕されるのでしょうか?

この行為は、名誉棄損罪(刑法230条1項)に該当する可能性があります。この罪のみで逮捕されることはあまり聞いたことがありません。

7:交際関係の縁切りをしたいが、自分ではできない。弁護士に相談できるか。

弁護士から相手方に内容証明郵便にて、「交際を終了させる。今後の連絡を拒絶する。」等の内容を通知することはできます。この通知後、相手方からの連絡が止まない場合、ストーカー規制法違反ということで、刑事告訴もできます。弁護士にご相談ください。

8:相手方から示談書が送られてきた。金額に不満がありどのようにすればよいか。

このような場合、示談交渉の具体的指示をすることになりますので、メール相談の域を超えており、回答致しかねます。

9:復職した際、会社から辞めるかパートになるようにいわれ、退職した。これは解雇にあたるか。解雇無効といえるか。残業代が支払われていないから請求したい。

パートは正社員ではないため、退職を選んだとしても、解雇といえる可能性はあります。解雇無効に該当するか否かは解雇の要件を満たしているかどうかで決まります。残業代については、残業をしたことを示す証拠(タイムカード等)があれば、認められます。

10:離婚したが、元夫が親名義の不動産に住んでおり出ていかない。法的に住む権利があるのか。

親が相談者ご夫婦に不動産を使用貸借した(民法593条)と考えられます。その期間は、夫婦関係が続いている間と解釈されますので、離婚後、元夫が住む権利は消滅していると思われます。しかし、婚姻中、親名義の不動産で生活をしていたわけすから、引っ越し期間等を考慮する必要がありますので、数ヶ月間は立ち退かせることは困難です。

11:被害届を出された。被害額と迷惑料を含めた示談金を提示しているが、被害者が示談に応じてくれない。なお、8年前に同種前科がある。逮捕されるのか。実刑になるのか。

被害者が示談金を受け取らない場合、供託することができます(民法494条)。ただし、捜査段階においては、被害者を刺激することになるので控えたほうが無難です。公判段階(起訴後)であれば、供託をすることで、被害回復ができた、として量刑上有利になります。同種前科が8年前のことであり、そこまで不利になりません。逮捕については、警察官の判断です。必ずしも実刑になる事案ではないと思われます。

12:サッカーの試合にて、ラフプレーで負傷した。しかし、相手方から誠意のない対応をされたため、なんとかしたい。どうすればよいか。

スポーツの試合中の事故であるため,そもそも不法行為(民法709条)に該当するか問題になります。裁判例では、「スポーツ競技中の事故については、もともとスポーツが競技の過程で身体に対する多少の危険を包含するものであることから、競技中の行為によって他人を傷害せしめる結果が生じたとしても、その競技のルールに照らし、社会的に許容される範囲内における行動によるものであれば、違法性を欠く」(東京地裁平成元年8月31日判決)とされています。そのため、民事上の責任を問う為には、相手の行為が社会的に許容される範囲外の行為であった、ということを立証することになります。ラフプレーであるから、直ちに違法であるというわけではなく、ラフプレーの中でも悪質なものが違法性を帯びるものと思われます。 なお、民事訴訟は、原則として金銭解決ですので、相手方からの謝罪を求めることはできません。

13:本屋で立ち読みをして内容を書き写していたところ、店員から注意された。内容を書き写することは違法なのか。

本屋は、本を売る空間と商品である本を提供しています。したがって、この空間を利用する顧客にどのように注意するかは、本屋の裁量です。顧客は、本屋を利用する以上、本屋のルールに従う必要があります。本屋にとって、本を立ち読みし内容を書き写すという行為が迷惑であることは明白です。度が過ぎれば業務妨害ということもありえます。

14:慰謝料を支払うことになったが、証拠にするため公正証書を作りたい。しかし、相手が応じてくれないため、何かよい方法はないか。

慰謝料を支払う以上、支払う原因、金額、清算条項等が記載された示談書を作成するのが通常です。これを公正証書にすれば、より信用性が高まります。しかし、公正証書でなくとも、内容が明確な示談書を作成すれば訴訟の際,有効な証拠となります。示談書の内容につきましては、弁護士にご相談ください。 また、示談書が作成される前に金銭を振り込む等することは、何の名目で支払われたのか不明になり、二重払いの危険もあるので避けましょう。

15:付き合っていた人に浮気相手がいた。その浮気相手から、婚約していたのだから、訴える、と言われた。私は、付き合っていた人から、浮気相手のことは気にするな、と言われており、この言葉を信じていた。この場合、私は浮気相手から訴えられたら負けるのでしょうか。逆に私から訴えて勝てますか。

浮気相手の主張は、婚約者との不貞を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権と思われます。なお、この責任は、あなただけではなく、婚約者(恋人)も負います。 この場合、あなたが恋人と浮気相手が婚約していたということを知っていたか、しらないとしても知るべき状況にあったか、が問題になります。その前提として、浮気相手があなたの恋人と婚約していたことを立証しなければいけませんが。 あなたの主張は、恋人から浮気相手のことは気にするな、といわれており、まさか婚約しているとは思わなかった、というものです。 また、あなたから訴える場合、恋人と婚約等していた事情がなければ、浮気行為をもって不法行為とするのは難しいと思われます。

16:元配偶者と売買代金未払いであったため売主から、給料の差押をされました。どうしたらいいですか。

差押により生活が窮する場合、とるべき手段は、差押禁止範囲の変更(民事執行法153条)と養育費の減額請求(民事調停)です。

17:研修で寮に住んでいる。上の階の者が、毎晩徹夜で酒盛りをしており満足に寝ることもできない。なんとかならないか。

寮の管理者に連絡するのが得策です。入寮の際の遵守事項違反であることを告げることも大切です。匿名で行いたい場合、弁護士からの内容証明等が便利です。

18:ある団体職員からあることないことを言われたため,処分を受けた。団体職員が嘘であることを認めたため、団体からその間の補償を受けることはできた。団体は、嘘をついた団体職員になんら処分しなかったが、納得できない。

団体が、嘘をついた団体職員をどのように処分するか裁量を持っています。そのため、団体側の処分に不服があっても、処分の名宛人(本件では団体職員)でなければ法的に文句はいえません。 なお、団体職員があることないことを言ったということが名誉棄損に当たる可能性があります。この場合、民事訴訟を提起すれば慰謝料が認められることがあります。

19:交際相手に生活費を渡したが,交際が終わっても返してくれない。どうすればよいか。なお、同棲はしていませんでした。

共同生活を営んでいない場合、生活費を共同で負担する必要はありません。そのため、あなたが交付した生活費が、消費貸借契約(民法587条)といえるのか、贈与(民法549条)といえるのか、問題になります。贈与となった場合、返還請求をすることはできません。 ただし、条件付き贈与(結婚するという条件の元で生活費を贈与した)といえるのであれば、返還請求も可能になります。

20:他の相続人から、相続を放棄するように迫られた。他の相続人の話によると相続財産がないらしい。しかし、他の相続人の話が信用できない。どうすればよいか。

さて,相談内容ですが,被相続人(亡くなった方)の相続財産がないという主張を覆せるか,ということと思われます。 そのためには,遺産確認の訴えを提起し,被相続人の積極的相続財産がある,ということ立証する必要があります。 また、相続を放棄する義務はありませんので、単純承認(被相続人の財産を受け取ること)しないように注意し、本当に財産がないということがわかった際に相続放棄すればよいと思われます。 もっとも、相続放棄する期間は、被相続人が死亡してから3カ月ですので注意が必要です。

21:隣人が、私の家の土地を工事のために無断で使用している。法的になんとかならないか。

本件の場合,民法209条2項により利用料を請求することができます。その額は月数万円程度と思われます。また,相談者様に断ることなく相談者様の土地を使用しているため,不法行為が成立する余地もあります。この損害額はおよそ10万円程度と思われます(刑法130条の罰金が10万円であることから)。なお,無断での立ち入りが住居侵入罪になるか,という点は,ならないと思われます。なぜなら,民法209条により隣地を利用することができるためです。 施工主(建築会社)と注文主(建主)に対して民事調停をするのがベターではないでしょうか。会社であれば,任意に支払ってくるものと思います。

22:出会い系サイトに登録して連絡先を交換しようとしたが,交換できなかった。そのため,ポイント代だけかかってしまった。取り返せないか。

サクラサイトだと思われます。男性の悩みを聞くという名目で,ポイントを購入させ,結局報酬は支払われず,連絡先の交換もできない,というものです。銀行口座が凍結されていることから,他にも被害者の方がいると思われますので,消費者センターに連絡するとともに,弁護士会に連絡してみるのはどうでしょうか。弁護士会の消費者相談や消費者問題に熱心な弁護士を尋ねてみてください。 サクラサイトであることの立証ができれば,支払ったお金を取り返せることも多いようです。

23:新車を購入したら,約1カ月後に新型が発売された。車屋に新型が発売されることを告げる義務はないのか。

まず,新型車両が発売されることが,「不利益事実」(消費者契約法4条2項)に該当するか問題になります。不利益事実とは,「当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る」とされています。 通常,新車を購入する場合,車両のモデルチェンジが気になるところですから,車屋さんと車両の相談をした際,今のモデルのみの話で,新型モデルの話がでなかったため,新型モデルがでないと考えたため現行モデルを買った,と評価することも可能です。しかしながら,新型モデルはほぼ確実に販売されるため,時期の問題はありますが,必ずしも販売店で告知しなければならないとまでは言えません。 そのため,新車の購入の際,車屋さんが新型モデルが近日中に確実に販売されることを知っていて,かつこの事実を秘匿して新型モデルが出ない等告げた,といえるのであれば,「不利益事実の不告知」に該当する可能性があります。 ただ,新型モデルの発売は,企業秘密事項であることも多く,ディーラーでも直前まで知らされないこともあります。ディーラーでない販売店であれば,より情報の入手は難しいといえます。 結局,車屋さんの情報がどれだけ正確なもので具体性のあったものであったかが大切になると思います。

24:顧客から、金品を受け取りました。これは、罪になりますか。また、解雇理由になりますか。

① ご質問の趣旨は、顧客から職務に関連して受け取った金品について顧客に返還する必要があるか、ということだと思います。 まず、顧客の行為は、いずれも贈与行為と思われますので、顧客に返還は不要です。 ② 質問の趣旨から逸れますが、顧客の行為は会社の就業規則に触れる可能性があります。 すなわち、従業員等が会社からの給与の他に顧客等から金品の授受をしてはならない等の規則があることが多いためです。 この規則の趣旨は、従業員が特定の顧客から金品を受け取ることで、便宜を図ることにより、顧客間の公正が害されたり、会社に予期せぬ損害を発生させるおそれがあるためです。 このような規則がある場合、規則違反ということで、即時解雇は別として懲戒処分の対象になります。 仮に、このような規則がなくとも、会社法第967条において、業務委託を受けた使用人等の贈収賄罪の規定があります。 この規定は、その職務に関して「不正の請託を受けて(お願いや頼み事のことです)、財産上の利益を収受等した」ことを条件として、刑事罰を定めています。 今回の場合、顧客から何らかのお願い(例えば、通常と異なるサービスを提供してほしい等)の対価として金品を受け取ってないのであれば、問題ありません。 顧客から何らかのお願いを受けて、その対価として金品を受け取っていると、会社法第967条の贈収賄罪に該当する可能性があります。 ご注意ください。

25:マンションの隣部屋からの騒音に悩まされている。なんとかならないか。

裁判例によりますと,「この種の騒音等に対する受け止め方は,各人の感覚ないし感受性に大きく依存し,隣室又は上下階間での人間関係に左右されたり,気にすれば気にするほど耐えられなくなるという性質を免れ難いものであるから,この場合においては,加害行為の内容,態様,程度,その頻度及び継続期間,苦情等の申入れの状況,加害者側の発生防止対策の有無,その他当事者の主観的,客観的な諸般の事情に鑑み,平均人の通常の感覚ないし感受性を基準として判断し,一定限度までの生活妨害はこのような集合住宅における社会生活上やむを得ないものとして互いに受忍すべきであるものの,右の受忍の限度を超えた騒音や振動による他人の生活妨害は,当該被害者に対する不法行為を構成する。」とされます。 具体的にどのような場合,騒音の大きさが受忍限度を超えるかというと,昼間であれば53dB以上,夜間であれば40dB以上が一つの目安になります。 また,単に一定のdBが計測されれば足りるというものではなく,騒音が発生する時間帯,相当の期間継続していることや,騒音の性質も問題になります。 そのため,まず,騒音を客観的に測定するため,専門業者に依頼することが考えられます。もっとも,専門業者に依頼するとなると高額な費用がかかりますので,ご自分で測定機を購入され測定なされるのも手だと思います。 その結果を元に,民事調停(裁判に比べ費用が安い)や民事裁判をするか否かを検討してはどうでしょうか。

26:人にお金を貸したが、返済しないので、裁判をして勝訴した。その後,一括での返済を求めると、分割返済を希望され、返済が終わる見込みが立ちません。 相手は、勤務先があるので、給与債権の差押を考えていますが、差し押さえたとしても会社を辞められると意味がないと思います。また、相手が破産することも考えられます。 どうすればよいでしょうか。

相手の勤務先がわかっているのであれば、給与債権を差し押さえることができます。この場合、給与の4分の1まで差し押さえることが可能ですので、相手方の提示した分割案よりも返済額が増える可能性が高いと思われます。ただし、相手方からの請求により8分の1まで減額されることもあります。 また、相手方が会社を辞めてしまうと退職金までは差押できますが、その後は意味がなくなります。相手方の預金口座や不動産がわかるのであれば、これらを差し押さえることも可能です。いずれにしても、相手方が破産し、免責を受けると、もはや相手方に支払うよう求めることができなくなります。

27:夫婦間の問題です。現在、相手方と別居しており、子ども(小学校低学年)は相手方と同居しています。月に何度か子どもが泊りに来ます。この状況で、離婚した場合、子どもの親権はとれるのでしょうか?

子どもの親権は、年齢にもよりますが、子どもの環境を重視して決められることが多いです。そのため、子どもと同居している側が有利です。ただ、この場合でも、子どもの環境に問題があると話は変わってきます。例えば、子どもが不登校になっていたり、ネグレクト等による遺棄によりが原因で健康上の問題が生じているような場合です。 そのため、子どもと別居状態で親権をとることは一般論でいうと難しいと言わざるを得ません。ただ、相手方の事情によっては、親権をとれることもありますので、あきらめないでください。